逢ってしまった、彼に。
断ろうと思えばあたしは断れた。
だってもともと友達と遊ぶ予定があったんだから。
『ごめん、無理。先約ある。』
って言えば良かっただけの話。

でもあたしには言えなかった。
『多分夕方には暇になるけど…』
そう言ってしまった。

あたしが頼んでいたビデオを渡そうと思ったらしい。
随分前の話だよ。

一旦逢う話がダメになりかけた。
あたしは思わず残念そうな声を出してしまった。
彼も残念そうに話していた。

お願い、そんな声を出さないで。


迎えに来てくれると言った。
なるべく早く遊ぶの切り上げてね。と言った。

そして、
『逢うのが楽しみ』だと言った。

あたしは普通に喜んでしまった。
嬉しくて仕方がなかった。

最後に逢ってから一ヶ月以上開いていた。

本当に嬉しかった。



でも逢わなきゃ良かった。

あたし達は付き合っていたころと変わらないことをした。
あたしには拒否は出来なかった。
傷つくのはあたしなのに。

その時はそれでいいと思った。
彼の笑顔が見たかった。
只それだけ。

彼の欲求を満たす為だけに逢いたいと言われたのだろうか?
それなら悲しすぎる。

あたし達が付き合っていた約半年が否定された気がした。
彼の言う友達って何?
彼女って何?
分からなくて家に着いたら急に涙があふれた。

お願い。
気持ちがないなら抱きしめないで。
あたしの、苦しくても幸せだった5ヶ月を否定しないで。

これ以上あたしの気持ちを利用しないで。

体の為だけにあなたに会うのは悲しすぎるから。

そんな人じゃないって信じてるから。

あたしはいまでも大好きだから。

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